コーヒーを作る場合、「コーヒーをいれる」と言いますが、
この「いれる」に当てはまる漢字は何かご存知でしょうか。
そういわれると少し漢字や使い方も自信がもてないですね。
「いれる」という漢字には「淹れる」、「入れる」、「煎れる」などがあります。
では、コーヒーの場合はどれが正しいのでしょうか。
また、お茶をいれる場合はどの漢字が当てはまるか
「淹れる」・「煎れる」・「入れる」の意味の違いと
コーヒーやお茶の場合の使い方や
「烹れる」「点れる」といった漢字の意味も見ていきたいと思います。
淹れる・入れる・煎れるの意味の違い【コーヒー・お茶の場合】
「いれる」と一言に言っても
当てはまる漢字は何種類もあります。
その中でも今回はコーヒーやお茶をいれる場合に当てはまる漢字について見ていきましょう。
■「淹れる」
まず、「淹れる」の字を使うときの意味は、
火から降ろしたお湯で茶葉を浸してお茶を作ることを言います。
「淹」の漢字の意味は、
水にひたす、水に漬ける
といったものです。
そのため、この「淹れる」を使うのは
急須に茶葉を入れてお湯を注いでお茶を作る場合です。
コーヒーの場合だと
ドリップ式やプレス式の場合だと
この「淹れる」が当てはまります。
しかし、あくまでこれは作り方に関しての表現です。
湯飲みやコーヒーカップに
そそぐ場合は
この「淹れる」の漢字は使いません。
ですので、
コップにいれることを指すのであれば、
「淹れる」の漢字は使えないのです。
さらにこの漢字は常用漢字ではありません。
そもそも「いれる」とは読まないのです。
「淹」は本来、
「エン」「ひたす」と読みます。
しかし、現在は、キーボードで「いれる」
とうっても変換候補には「淹れる」とでますので
間違いといったこととは言えませんが、
正式には使われない漢字なのですね。
■「煎れる」
「煎れる」の字は、
「煎る」といった豆や穀類などを直火ではなく加熱すること
等に使われる漢字ですので
炒られた状態といったイメージがあります。
こちらの「煎れる」漢字ですが、
これは「いれる」というよりも
「煎(せん)じる」という読み方の方がしっくりときますね。
「煎じる」とは、
お茶の葉を火にかけて煮出してお茶を作ることを指します。
つまり
お茶では煎茶がこれに当てはまります。
さらに
コーヒーの場合は、鍋でコーヒーからに煮だしていく
ターキッシュコーヒーなど抽出して作る場合が当てはまりそうです。
このように、
「煎れる」は「淹れる」と
同様に作る過程を指しています。
そのため湯飲みやコーヒーカップにまで
注ぐ一連の流れを表す意味では使えません。
■「入れる」
この「入れる」は様々な意味で使えます。
本来、何かの中に物などを収めることを意味します。
ですので、
もちろん
お茶を湯飲みに
コーヒーをコーヒーカップに
注ぐ場合など器に収めるといったことで
どちらにも「入れる」と使えます。
また、それだけでなく
「コーヒーをいれる」、
「お茶をいれる」
という表現は
作ってそれを湯飲みやカップにいれるまで
の一連の動作を指しますが、
「入れる」はまさにこの一連の動作を表すことができます。
そのため、
コーヒーとお茶の両方に使える漢字です。
以上のことから
コーヒーやお茶の場合、
使える漢字は「入れる」が一般的だといえます。
その理由としては、
「淹れる」と「煎れる」は作る工程を指しているからです。
もちろんその「いれる」工程を指定したいといったことで使う場合は、
「淹れる」と「煎れる」のそれぞれの意味にあった使い方をするといいですね。
ただ、
「淹れる」と「煎れる」の漢字は先ほど言ったように
どちらも常用漢字ではありません。
そのため、
常用漢字内で記載するのであれば、
「入れる」を使うのが適切だということになります。
「点れる」「烹れる」は?
では、「いれる」という漢字には
「点れる」と「烹れる」といった漢字もでてくることがあります。
これらはどのような場合に使うのでしょうか。
まず、「烹」という字は「割烹」に使われている字で
料理としての「いれる」を表しています。
「烹る」は「にる」と読み
水などを加えて、柔らかくなるまで火にかける意味です。
「烹れる」といったのはあまり一般的ではありません。
一方、
「点れる」はお茶を点(た)てるの
「点」からきているので
抹茶などを入(い)れる時に使います。
中国の宋の時代に生まれた「点茶」と呼ばれる、
抹茶のように、茶葉を薬研などで碾いて細かくし、
粉末状態となった茶を茶碗に入れて
お湯を注ぎ均一にかくはんして飲む方法
のことですね。
通常「点てる」(たてる)といった使い方をする方が
多いと思います。
ま と め
このように「いれる」と一言に言っても様々な漢字があります。
コーヒーの場合は「淹れる」が一般的なようなイメージがありますが、
これは入れ方によります。
そしてお茶の場合も入れ方に関しては
「煎れる」が適切なように感じがちですが、
どちらも常用漢字ではありません。
作ってからカップにいれるまでの
一連の動作を示すなら「入れる」を使うと適切です。