「なんと姑息な・・・。」なんて言葉聞きますよね。
どちらかというとこの言葉の意味するのは「卑怯とか卑劣」とかといったニュアンスの使い方をしているのではないでしょうか?
でも本来「姑息」にはそのような意味はないのです。
そこで、「姑息」の誤用が多い原因や語源、類義語・「姑息」を使った四字熟語などをお伝えしたいと思います。
姑息の本来の意味とは?
「姑息」意味はといわれるとどう答えるでしょうか?
現在では、「姑息な手段を・・・。」
といった言葉の意味はというと
・卑怯、卑劣
・ずるい
・ケチ臭い
などというような意味にとらえられると思います。
しかし、本来の「姑息」の意味はこのように「卑怯、卑劣」、「ずるい」、「ケチ臭い」といった意味はありません。
「姑息」の本来の意味は
「姑」の漢字
の意味である
1.夫の母、しゅうとめ
2.しばらく、一時的
「息」の漢字
の意味である
1.いき、いきをする
2.休む
3.むすこ、こども
4.生きる、生活す津
5.利子
のうちの「2.しばらく、一時的」と「2.休む」といった
意味のからできた熟語です。
ですので
「しばらくやすむ」「一時的に休む」
といった意味からくる
『一時しのぎ』の意味が本来の
「姑息」の意味になります。
「しばらくの間、息をついて休む」というような意味が「しのぎ」という言葉によって一気になんかちょっと卑怯な感じがしてきましたね。
また、漢和辞典などによると、
のうちの「1.夫の母、しゅうとめ」と「3.むすこ、こども」といった意味からくることばとして
「女と子ども」の意味として使う場合もあったらしいです。
これは、また全然違った意味になりますね。
姑息の語源と誤用原因
「しばらくの間、息をついて休む」のような意味が何故「卑怯、卑劣」、「ずるい」などの意味で使われることが多くなったのでしょうか?
誤用というよりも言葉の意味の変化ですね。
「しばらくの間」というのが、根本的に解決するのではなく、一時の間に合わせにするというイメージが強くなってしまったからだと思います。
「一時の間に合わせ」⇒「その場しのぎ」⇒「卑怯(ひきょう)」
という意味で使う人が多くなり、そして受け取る方も
そういう意味で認識し、とらえることによって「卑怯(ひきょう)」といった意味が定着してきたのでしょうね。
また、「姑息」と「小癪」が音が似ていることからや
「コソク」という響きが「コソコソする」といった連想も当てはまりやすいということも原因の一つかもしれません。
音のイメージは重要ですからね。
こういったことから、今では7割以上の人が本来の語源からの意味から誤用していることになりますね。
文化庁が発表した平成22年度「国語に関する世論調査」では、「姑息な手段」を、「一時しのぎ」の意味で使う人が15.0パーセント、「ひきょうな」の意味で使う人が70.9パーセントという結果が出ている。
誤用の意味で子供のころから覚えてしまう人が多くなり、そしてメディアなどもその誤用を増産させていくことになりますから、今はその速度も速くなっています。
このようにさまざまなことばで、原因はひとつではなくても誤用が誤用を呼び、間違った意味で使う人の割合が圧倒的に多くなった時点で本来の意味でなく、誤用が市民権を得ていくという例は数えきれないですね。
姑息の使い方
これまでみてきたようにこれほど多くの方が本来の意味でない使い方をしているのであれば、
「姑息」を
『一時しのぎ』の意味でなく、
『ずるい、卑怯』の意味で使っても誤用だとは言えなくなっています。
「姑息」もこのように「その場だけの間に合わせ」であることから、「ひきょうなさま、正々堂々と取り組まないさま」の意で用いられることがある。
とかいている辞書もあります。
■姑息の使い方の例
使い方の例は、
姑息な事を云った。
姑息の手段によって・・・
姑息なことをするなんて・・・・
姑息ながらに生きているは
姑息な差しかえ
姑息な手当をしていた
姑息になってしまいます
姑息を自分に許すまいと
姑息な策を用いない
姑息な手段を考える
姑息の方法では根深い誤解を除く
このような使い方になります。
これらは、
「その場しのぎ」の使い方の例で出したのですが、
「卑怯(ひきょう)」と置き換えても意味がつうじてしまいます。
このように「姑息」の意味は、自分は本来の意味でつかったとしても相手に通じない場合がありますね。
姑息の類義語
「姑息」の類義語は、『一時しのぎ』の意味からすると
「寸延ばし」、「一時逃れ」、 「当座逃れ」
「一寸逃れ」、「その場しのぎ」、「その場逃れ」
となります。
『卑怯(ひきょう)』の意味からすると
「ずるい」「卑劣」
のようになりますね。
姑息の四字熟語
「姑息」をつかった四字熟語をいくつか挙げておきます。
■因循姑息(いじゅんこそく)
意味は、古い習慣に頼って、その場をしのごうとすること。
また、そのさまのこと。
この四字熟語は、明治文明開化期の流行語です。
おっぺけぺえ節にも「ちょんまげ頭を叩いて見れば、因循姑息の音がする」とうたわれていました。
■無為姑息(むいこそく)
問題があってもなにをすることもなく、一時しのぎですます消極的なさま。
「無為」は単体だと「自然のままで作為のないさま、あるがままであること、何事もなく穏やかなさま」と比較的良い意味をもっていますが、「姑息」がつくことによって
消極的な意味になっていますね。
■姑息手術(こそくしゅじゅつ)
疾病の完治を目指すのではなく、症状の緩和を主眼において行われる手術の総称のこと。
これは本来の一時しのぎといった意味のことばですね。
対義語は「根治手術(こんちしゅじゅつ)」となります。
ま と め
「姑息な手段をとる」などよく使う「姑息」ということばを本来の意味と現在使われているのは誤用かなどをみてきました。
ほとんどの日本人は「姑息な手段」を「卑怯な手段」とか「ズルいやり方」という意味に誤用しています。
話す方も聞く方も誤った認識で合致して
「姑息な人だね」、「ほんとうに姑息な奴だ」などと会話が成立しています。
「姑息」などこういった言葉はたくさんあります。
めくじらたてて誤用だからダメと言ってもメディアなども誤用の意味で使っていることもありますのでしかたありませんね。
しかし、もともと日本語はいろんな意味をもち使い方が難しい言葉も多いです。
使うときは双方の誤解のないように気をつけたいですね。