知っているようで違いがよくわからないものに
「陶器(とうき)」と「磁器(じき)」があります。
一般的に、よくどちらも「焼き物」と呼んでいることもあり、
違いがよくわからなく使っている方も多いと思います。
この「焼き物」、正式には陶磁器(とうじき)と総称されていますが、
そこには、「陶器」と「磁器」があり、他にも、「セラミック」と呼ばれているものもあります。
今回は、その陶器と磁器とセラミックとの違いと見分ける方法や
種類とお手入れ方法などと 電子レンジには使用可能なのはどれなのかなど簡単にお伝えしていきたいと思います。
陶器とは?磁器・セラミックとの違い
生活する中では、みまわすと「焼き物」といわれるものはとても多くありますね。
コップや
お皿、
トイレの便器 etc. ・・・
挙げるとキリがありません。
では「陶器(とうき)」と「磁器(じき)」と「セラミック」はどこが違うの?
といわれると以外とわからなくなります。
ではひとつひとつ見ていきましょう。
■陶器(とうき)とは?
陶器は、「陶土」という土の中にある粘土を練って型にして焼成したものです。
主成分が粘土ですので、
陶器のことを『土もの』といいます。
陶器の特徴は、
吸水性があり保管する際に充分な乾燥が必要ということです。
陶器自体は、熱しにくく冷めにくいものです。
焼成温度は800℃~1250℃の間です。
また、
磁器に比べると密度は低く、
強度は弱いですが、
その分軽く、ザラリとした質感があり、柔らかな印象です。
先程あげたように、吸水性があるので、臭いやカビにも注意が必要です。
■磁器(じき)とは?
磁器は、「陶石」と呼ばれる砕いた石の粉などを原料に、粘りを付けるため粘土を混ぜています。
このように磁器の主成分は、石の粉であることから
磁器は、『石もの』といわれます。
磁器のその特徴は、
水分を弾く性質があり、熱しやすく冷めやすいことです。
磁器の焼成温度は1200℃~1400℃以上です。
陶器と比べると高い温度で焼き上げます。
また、陶器と比べて磁器の原料の粒子が細かくて均一な生地を
高温で焼き締めるため、
硬度があり表面はつるりとしています。
ですので、磁器は、臭いや色移りなどの心配があまりありません。
■セラミックとは?
セラミックは、セラミックスともいわれ
焼き物全般を指す英語(Ceramic)からきています。
ですのでそもそもは陶磁器のことをいっていました。
また広い意味では、
窯業製品全体のことを意味し、
無機物質を原料として熱処理によって得られる製品のことや
それを
製造する工業自体のこと
もセラミックスといっていることもあります。
人為的な処理によって製造され、
無機質な素材を使用したものといったことですので、
シリコン・
炭化物・
窒化物・
ホウ化物など
で作られるものや、
炉の中でつくる製品すべてもセラミックです。
といったことで
「ガラス・セメント・砥石」など
全てを含めてセラミックと言います。
ただ、
伝統的なセラミックスの原料は、
粘土や珪石等の天然物であったため、
陶磁器=セラミック
といった本来の意味からは少し違ったとらえ方をされているのですね。
陶磁と磁器の見分ける方法
陶器と磁器の見分ける方法として、一番分かりやすいのは、
光に透かしてみることです。
「陶器」は、
光に透かしてみても光は通しません。
そして、
陶器を叩くと鈍く低い音を出します。
また、持つと素朴な手触りです。
色は、土色が強い、淡い色です。
吸水性があるので、
例えば、陶器でできたものに
醤油、コーヒーなどの
色の強いものやを長時間入れたままにするとシミになります。
更に、
洗剤の中に長時間つけたり熱湯で洗うと腐食の原因ともなりやすいのも陶器の特徴です。
「磁器」は陶器とは違って、
光に透かしてみると光を通すのがわかります。
また、叩くと金属的な高い音がします。
そして手触りはつるっとしています。
色は、純白で、比較的丈夫ですが、
衝撃により部分的なカケをつくりやすいです。
といったことで、
陶器と磁器の見分ける方法は、
・光に透かす
・叩いてみる
・手触り
・色
といった方法で見分けることができると思います。
瀬戸物・有田焼き、伊万里焼は「陶器」?「磁器」?
陶器と磁器の違いや特徴はわかったかと思います。
では日本の有名な「焼きもの」の一つである瀬戸物や有田焼き、伊万里焼は
陶器なのでしょうか?
磁器なのでしょうか?
実は、
瀬戸焼きは、「陶器」で、
有田焼き・伊万里焼は、「磁器」なのです。
また、瀬戸で焼いたにはかかわらず、
「せともの」いったことばが
陶磁器に対して一般的に使われていることからもわかるように
陶器を日本で初めて本格的に焼いたのが瀬戸です。
それに対して磁器を初めて作ったのが唐津なのです。
ですので陶磁器のことを西日本では「からつもの」ともいったりします。
陶器・磁器等のお手入れ方法
では、陶器、磁器、お手入れ方法をみていきます。
■陶器使い始めののお手入れ方法
吸水性のある陶器に関しては使い初めに、
水が染み出るのを防いだり、汚れをつきにくくするために、
水に浸したり
「目止め」をする必要のあるものもあります。
目止めとは?というと
粗い土を使っている陶器などの
汚れや臭いをつきにくくしたり、
水漏れを防ぐために
米や片栗粉など、デンプン質のあるもので、
貫入や土の粗い目を塞ぐことです。
やり方は、米のとぎ汁や小麦粉や片栗粉をとかしたお水を煮立てて
沸騰させたあと火を止めてそのまま冷ましておき、
冷めた後にぬめりをしっかり洗い落した後、しっかり乾燥させます。
陶器はそういった「目止め」が必要ものもあるのです。
土鍋などはそういったことが必要です。
ただ、ものによっては、目止めをすることで、逆に臭いやカビの原因になったりする場合もあります。
ですので必要かどうかは取扱説明書などしっかり読むようにしましょう。
そして、目止めをしない場合も、
一晩ほど水につけておくことをおすすめします。
吸水性がほとんどない磁器や半磁器は、
食材の臭いや色が移る心配はあまりないため、
使い始めに特別なお手入れは特にありません。
■陶器のシミを取る方法
使っているうちに陶器にシミが出来てしまったらどうすればいいのでしょうか?
茶渋やコーヒー染みには塩(大さじ1杯程)を
スポンジにのせ、水を含ませて洗っていきましょう。
■陶器・磁器についた臭いを取る方法
陶器にいやな臭いがついてしまった場合は、まず煮沸するといいですね。
鍋に水と器を入れ沸騰させます。
その時、
少量の茶葉、
又は重曹やレモン汁を入れるのも効果的です。
茶碗や湯呑みなど深さのあるものは、
お湯を張り、少量の酢を入れ、
少し待ってからしっかり洗うようにしましょう。
また、食器用漂白剤にしばらく浸してから、洗うのといった方法も一つです。
磁器であれば、食器用洗剤で洗うだけでも十分な場合が多いです。
■陶器・磁器にカビが生えてしまったときは?
カビが生えてしまったときのお手入れ方法ですが、
陶器の場合は、
食器用漂白剤に浸してから洗うようにしましょう。
漂白剤を使うのが気になる場合は、
殺菌のため煮沸して、天日干しする方法もあります。
煮沸は、
洗ってカビを取りってから
鍋に水と器を入れて沸騰させます。
この時、
たっぷりの水にお酢(大さじ2~3杯)を入れ10分ほど煮ていきます。
後は、水気を拭いて、天日干しにし、よく乾燥させましょう。
磁器の場合は、食器用洗剤で洗うだけでも十分な場合も多いです。
どの方法もとにかく
よく洗いよく乾燥させましょう。
陶器・磁器・セラミック等で電子レンジやオーブンで使えないものとは?
電子レンジやオーブンでの使用はどうなのでしょうか?
電子レンジは、基本的に磁器や半磁器、耐熱陶器等、
磁器の大半は使用できます。
しかし陶器はそうではなく、
ほぼ全てのものが使用不可か、使用しないことをすすめられています。
その理由は陶器は
磁器よりも粘土質を多く含んでいることや、
焼成温度も低いため、硬度が弱いからです。
また、陶器は吸水性があるため、
内部に浸透した水がマイクロ波で熱されることによって、
内部から器の劣化が進んでしまうことが多くなるからです。
陶器でも、1、2回使ったのみでは、大きく破損することはほぼありません。
しかし使用を続けていると、
だんだんと器へのダメージが蓄積されていきます。
そして、それが突然ひびや割れとなって表れてくる場合があります。
ですので、
大事な陶器を長く使っていこうとするのであれば、
電子レンジでの使用はしない方がようでしょう。
また、陶器・磁器を問わず、火花が出る可能性があるので、
金・銀・プラチナなど金属製の釉薬で絵付けされたものは使用できません。
そして、
オーブンは、耐熱性の土で作られていなければ使えません。
あと、土鍋は、耐熱陶器であっても、
電子レンジやオーブンで使用できないものが多くありますので、ご注意ください。
ま と め
陶器・磁器・セラミックとの違いや見分ける方法やお手入れ方法と電子レンジやオーブンはOKなものなどを見ていきました。
陶磁器というように「やきもの」といって陶器と磁器をひっくるめていっている場合が多いですが、
一口に「焼き物」と言っても、種類が違い、原料から焼き方まで違っていることがわかりました。
「セラミック」と陶磁器との大きく異なる点は原料の粒子の大きさがミクロン単位で均一にできることや
用途に合わせて、製造工程で様々な特性を持たせることができることです。
陶器や磁器、セラミックなどの違いがわかることによって選び方が変わってくると思います。
お手入れ方法なども含め、ご参考にしてみてください。