「ヒトメタニューモウイルス」とは聞きなれない単語かもしれませんが、
子供がかかりやすい感染症の1つです。
子供に発熱や咳などの症状が出てくると「風邪をひいた」と考えますが、
その風邪のような症状の原因の1つとなっているのがヒトメタニューモウイルスなのです。
では、ヒトメタニューモウイルスとは具体的にどのような症状を引き起こすのでしょうか。
また、大人にもうつるのでしょうか。
潜伏期間や対処法などと大人もかかるのかなどと一緒にご説明していきます。
ヒトメタニューモウイルスとは?その症状は?
ヒトメタニューモウイルスとは感染性ウイルスの一種です。
晩冬から早春に流行する呼吸器感染症です。
1~3歳の幼児の間で流行することが多いです。
気管支炎や肺炎を引き起こす原因の1つで、
発症すると
咳、
鼻水、
発熱
などを生じます。
このような症状を聞くと、風邪に似ていると思う方もいるかもしれませんが、
実は世間で「風邪」と言われているのがこのヒトメタニューモウイルスであることも多いのです。
ヒトメタニューモウイルスは、
ウイルスの遺伝子も感染症の症状もRSウイルスに似ていて、
症状だけでは、診断できませんので判別には検査が必要です。
そして、大抵は1週間程度で症状は治ります。
そして、このウイルスは一回かかっただけでは免疫がつきません。
そのため、何度もかかってしまうのです。
そして、子供がかかりやすい原因もそこにあります。
小さな子供の場合はウイルスや細菌にかかった経験が少ないので、免疫がなく、
かかりやすいのです。
そのため、免疫力の低い乳幼児や高齢者がかかると重症化しやすいので、注意が必要です。
ヒトメタニューモウイルスの潜伏期間と治療法
■ヒトメタニューモウイルスの潜伏期間と感染経路
ヒトメタニューモウイルスの
潜伏期間は3~5日程度です。
年間を通して存在するウイルスですが、3月~6月に流行しやすい病気です。
どのように感染するのかというと、このウイルスの感染経路は2種類です。
くしゃみや咳により唾液が飛んでしまい感染する
「飛沫感染」と、
鼻水や唾液のついた手で接触することにより感染する
「接触感染」があります。
そのため、マスクを嫌がってつけない小さな子供や、園などの集団生活をする子供がかかりやすくなっています。
また、兄弟・姉妹がいて、一緒に遊んでいるとうつる可能性が高いです。
■ヒトメタニューモウイルスの治療法
ヒトメタニューモウイルスに特効薬はありません。
そのため、治療法としては対処療法になります。
クリニックなどを受診すると解熱剤や咳止めなど症状を緩和する薬を処方してくれます。
症状が治るまでは薬を飲み続けることをおすすめします。
そして、小さい子供の場合は鼻水や鼻づまりが苦しく、なかなか寝付けない場合もあります。
そのような時はベビー用品に鼻水を吸える「鼻吸い器」があるので、それを利用するといいでしょう。
小さい子供の鼻水や鼻づまりを放っておくと中耳炎を起こしてしまう可能性もあります。
そのため、あまりに辛そうな場合は吸ってあげて下さいね。
ヒトメタニューモウイルスは通園・通学していいの?
このウイルスにかかると気になるのが通園・通学をしていいかということです。
インフルエンザや溶連菌感染症などの場合は、「学校保健安全法施行規則」の中で感染症に指定されている病気です。
そのため、出席停止になりますが、ヒトメタニューモウイルスは感染症に指定されていません。
しかし、出席停止は、
学校保健安全法第19条で
「校長は感染症にかかっており、かかっている疑いがあり
又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる」
と定められています。
日本小児科学会 の「学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説」 2017 年 4 月改訂
では、ヒトメタニューモウイルスも入っています。
そのため、出席停止扱いになることが多いですが、
出席停止扱いなるかどうかは通っている幼稚園や学校に
確かめることをお勧めします。
だだもし、通園・通学しても大丈夫ということだったとしても、周りに移さないように
気をつけなくてはいけません。
一応、通園・通学の目安としては、
発熱が治まって1日以上経過していれば大丈夫です。
しかし、体調もよく、出席するのであってもマスクをして、うがい・手洗いをするようにして下さい。
ウイルスの排出は 1-~2 週間ですが、
免疫低下状態では数週~数か月かかって排泄されることもあるようです。
また、園によっては症状がおさまってからも
通園を控えるように言われる場合もありますので、そちらもあらかじめ確認しておいてください。
ヒトメタニューモウイルスは大人もかかる?
ヒトメタニューモウイルスは子供に多いのですが、大人もかかります。
むしろ、大人の方が辛い場合もあります。
子供は熱が下がると元気に遊ぶようになりますが、
大人の場合は倦怠感や鼻水が長引く場合があります。
その原因の1つはただの風邪と考えて、しっかり休まないからです。
特に子供がかかると、その看病をしている大人が掛かってしまい、家事や仕事があるので普段通りの生活をしてしまう場
合があります。
しかし、休まなければ回復に時間もかかるので、睡眠を十分に取るようにしたり、運動を控えて体を休ませるようにして下さい。
ま と め
発熱や咳が出始めると「風邪をひいた」と考えますが、その風邪の症状の原因の1つがヒトメタニューモウイルスです。
特に免疫力の低い小さな子供にかかりやすいため、保育園や幼稚園に通っていると必ずと言っていいほどかかる病気です。
そのため、入園して数年は何度もかかり、その度に休むことも多くなりますが、免疫力がついてくるとかかる回数も減り、休まずにすむようになります。
そして、発症してしまった場合は重症化したり、合併症を起こさないようにしっかりと休ませるようにして下さい。
ただし、発熱が何日も続く場合は細菌感染なども併発している場合があります。
そのような時はすぐに医師の診察を受けるようにして下さいね。