謝る時、謝罪につかうことば、「申し訳ありませんでした」は、「申し訳ございませんでした」はどちらを使う方が、より丁寧なことばなのでしょうか?
また、その「申し訳ありませんでした」、「申し訳ございませんでした」の使い方は正しいのでしょうかそれとも間違っているのでしょうか?
そのあたりと細かく見ていきたいと思います。
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「申し訳ありませんでした」は間違い?
「申し訳ありませんでした」、「申し訳ございませんでした」
パソコンなどで、タイピングするときに自動変換ですぐでてくるほどに
普通に使われていることばです。
その「申し訳ありませんでした」、「申し訳ございませんでした」が間違っているといったことを言われたらこまりますよね。
「申し訳ありませんでした」、「申し訳ございません」という言葉は、使い方として間違っているのでしょうか?
■「申し訳ない」を形容詞として考える
「申し訳ない」は間違った用法なるかもしれないといったことを初耳学で紹介され、あの林修先生も解説されていました。
その理由としはこういったことになります。
もともとの「申し訳ない」という言葉は、これ一語で形容詞です。
形容詞の活用のしかたは、「かろ・かっ・く・い・い・けれ」の1種類だけですね。
形容詞の活用形は、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の五つで、命令形はありません。
そしてこの形容詞の「申し訳ない」を活用するとしたら、
申し訳な かろ う (未然形)
申し訳な かっ た (連用形)
お申し訳な く なる (連用形)
申し訳な い 。 (終止形)
申し訳な い とき (連体形)
申し訳な けれ ば (仮定形)
といった
「ない」という部分が変わっていくことになります。
そして、「申し訳ない」の敬語表現としては「申し訳なく存じます」等とするのが正しいといったことです。
といったことで、「申し訳ない」といったことばと「ない」だけ取り出して
「申し訳ない」「申し訳ある」と表現するのは本来、おかしい使い方となるといったことです。
そして、「申し訳ない」を形容詞として丁寧語を使うとすると
「申し訳ないことでございます」
と使うのが正しいといったことになります。
そういったことからいえば、「申し訳ありませんでした」、「申し訳ございませんでした」といった言葉は間違いになります。
「申し訳ない」をわけてみたらどうなる?
すでに一般的によく使われている「申し訳ございません」をいまさら、間違っている、誤用だといわれても・・・。
といったことになってしまいますね。
「申し訳ない」を一語の形容詞と解釈すれば確かに誤用になってしまいます。
では、
「申し訳」+「ない」とわけてみるとします。
何故、わけられる言葉だといえるのでしょうか?
元の言葉、「申し訳ない」が「が」間にを入れても成立することばだからです。
「申し訳 が ない」といったことですね。
ですので、辞書によっては「申し訳ない」が一語の形容詞でなく、
「申し訳」の部分を名詞(代名詞)として扱っているものがあります。
「申し訳程度の」という言い方をするときも同じことになります。
そういった意味で、「申し訳」が単独で名詞として成立しているということであれば、
「申し訳ある」「申し訳ない」という言い方も
あり、だということになっていきます。
「申し訳ありませんでした」「申し訳ございませんでした」使い方は正しいor間違い?
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■「申し訳ありませんでした」「申し訳ございませんでした」は正しい使い方
では、「申し訳ありませんでした」、「申し訳ございませんでした」といった使い方は
結局、間違っているのでしょうか、正しいのでしょうか?
整理してみると
形容詞としての「申し訳ない」から考えると「申し訳ありませんでした」、「申し訳ございませんでした」は、
間違った使い方だといえます。
しかし、「申し訳」を名詞として「ない」を助動詞とし考えると正しい使い方といいました。
くわしくみていくとこうなっていきます。
「ない」があると「ある」といったことも言えることになります。
従って、
「申し訳ありませんでした」、「申し訳ございませんでした」といった言い方は正しいといったことになると思います。
■「申し訳ありませんでした」と 「申し訳ございませんでした」の違いとどちらが丁寧?
「申し訳ありません」と「申し訳ございません」が日本語としてありだとして違いやどちらがより丁寧なのかもう少し、くわしく見ていきます。
「申し訳ありません」は、
まず、「申し訳」+「ある」にわけられたことばの丁寧語の否定形です。
「ます」は丁寧語で、敬語のひとつですから、「あります」といった使い方はできます。
「ありません」は「あります」の否定形ですので「ありませんでした」も正しい表現となります。
「申し訳ございません」は、
そして、「あります」より上位の丁寧語が「ございます」です。
「ありません」の「あり」をさらに丁寧語に変えた言葉だと言われます。
ですので、
否定形の「ございませんでした」も、「ありませんでした」より上位の丁寧表現になります。
ということで、
「申し訳ありませんでした」「申し訳ございませんでした」の違いは、丁寧さの度合いがちがっていたといったことです。「申し訳ございませんでした」のほうがより丁寧だということですね。
「申し訳ありません」といったことばも丁寧の助動詞が使われていますので、敬語として敬意ははらわれています。
「申し訳ございません」のほうがより丁寧だといったといってもかならずそちらを使った方がいいといったことではありません。
一般的には会社で使用するばあい謝罪のことばとして「申し訳ありません」を使う方が多いようようです。
違いをわかったうえでその場に応じた使い方をしたいですね。
【申し訳ないです】ありorなし
では「申し訳ないです」といった使い方は間違いでしょうか?
「申し訳ないです」は一応「です」という丁寧語は使っていますが、
文法上は、正しい形ではありません。
「申し訳がない」ということを文語では「申し訳無なし」と言っていました。
本来は「申し訳ないことです」というのが正しい使い方です。
それもあまり使い慣れていないのであれば、
「申し訳ありません」と言うようにしたいですね。
また、口語では使うときは、述語として文末にきたとき、です・ます体では「○○がありません」となります。
しかし、「異存ありません」、「お変わり御座いませんか」
のように助詞のない形は、ほかにもあります。
ですので、「申し訳ないです」という言葉は使えないとはいいきれないのですが、
かなり、幼児語だともいえます。
ですので、結論的には、「申し訳ないです」はあまり使わない方がいいですね。
ま と め
「申し訳ありません」や「申し訳ございませんでした」が間違っているか、正しいかなどをみていきました。
確かに形容詞として考えるとおかしな使い方になっていますが、「申し訳」+「ない」と考えていき、正しいと考えていった方がいいのではないでしょうか
「申し訳ございませんでした」のほうが「申し訳ありませんでした」より上位の丁寧語で相手に対する敬意の度合いが高い表現であることもわかりました。
「申し訳ございませんでした」といった言葉も一語の形容詞からきていると考えると丁寧なことばでいったつもりでも間違っている思われてしまうこともあるかもしれません。
通常、使っている方も多いので問題ないかと思いますが、気になる方は、「大変失礼致しました」とかいった違う謝罪のことばと使うといったこともしてみていもいいですね。