8月26日にさいたま地裁が、埼玉県朝霞市議の男性がおこした訴えに対して判決を下した。
その訴えとは、「テレビを見ることができるワンセグ付き携帯電話の所有していることを理由にNHKから受信料を要求されるのは不当だ。」という訴えである。
そしてさいたま地裁の判決は、「ワンセグ携帯を持っていることで受信料契約を結ぶ義務がない。」というものであった。そのワンセグNHK訴訟の判決の内容とこの判決によって今まで支払ってきた受信料の返金があるかカーナビテレビはどうなのか、などをお伝えしたいと思います。
NHKの受信料の支払い義務範囲の判決理由は?
訴えをおこした市議は、
- 男性は自宅にテレビがない。
- ワンセグ付きの携帯電話を所有しているものの視聴はしていない。
という状況であった。
この状況であったときに、NHKに受信料の契約をするように言われる。
それに納得のいかなかった男性市議は、
NHKに放送受信契約を締結する義務がないことを確認しようと問い合わせたということだ。
そのときのNHKの対応は、
ワンセグ携帯を持っているだけでNHK受信料の締結義務がある
ということであった。
2015年8月のことであるという。
NHK側の主張は、
「ワンセグも受信設備であり、放送が受信できる状況にある以上、契約義務はある」
NHKの公式サイトでも、
「ワンセグ受信機も受信契約の対象です」としている。
また、すでに家の他のテレビの所有などにより受信契約をしている場合は、
新たにワンセグの受信機を購入されたとしてもあらためて受信契約をする必要はないということだ。
そして、その訴えに対して、さいたま地裁の大野裁判長が下した判決は、
ワンセグ付き携帯電話を所有していることによってNHK受信料の契約を結ぶ義務ない。
と判断を示した。
判決理由は、
携帯電話の所持は、放送法上、受信契約を締結する義務があると定める受信設備の設置には当たらない。
ということだ。
この判決の争点は、「放送法64条1項」の解釈です。
「受信設備を設置した者」に受信契約の義務があると記したこの条項の
「受信設備を設置」ということば。
市議は、携帯電話のワンセグは「設置」ではなく、「携帯」だと主張した。
対するNHKは「設置」とは「受信設備を使用できる状態に置くことだ。」と反論していた。
判決文では、
マルチメディア放送の定義を定めた放送法2条14号で「設置」と「携帯」が分けられていることから、ワンセグ携帯であっても「設置」とするNHKの主張を「文理解釈上、相当の無理がある」としてワンセグ携帯の所持は、「携帯」にあたるとした。
判決後、市議男性は、
「多くの国民が疑問に思っていたことなので、主張が認められて喜ばしい。NHKには間違って契約させられていた方に真摯に対応していただきたい。」
と話している。
ワンセグ携帯は受信料義務なし!カーナビは?
この判決のワンセグ携帯はわかったのですが、
カーナビはどうなるのでしょうか?
受信料契約は、不要なのでしょうか?
カーナビはあくまでナビですので、「受信設備」ではありません。
それにTVチューナーを付けて受信すると「受信することのできる受信設備」になります。
そのようなカーナビTVに関しては「受信することのできる受信設備」になるのでNHK受信料の契約する必要性がでてきます。
チューナーをはずしておけばもちろん受信料を支払う契約の必要の要件には該当しません。
しかしもし、家にTVがない代わりに、そのカーナビで頻繁にTVを見るというのなら、契約するべきでしょう。
ではなく、
「カーナビでTVみないよ~。」
というのであれば、契約をしなければいいだけです。
放送法32条1項の後段但し書きには、「放送の受信を目的にしない受信設備」に関しては契約しなくていいとあります。
この辺の違いがわかりにくですね。
いちいちここまでこまかく、調べるとしたら膨大な人件費もかかってきますので現実的には調査は中途半端で線引きがあいまいになっている状態です。
今後どうなる?
今回の判決でワンセグ携帯を持っているだけでは、NHKに受信料契約をする必要がなくなったのでしょうか?
そして受信料を支払はなくてもよくなったのでしょうか?
さいたま地裁の判決は出ましたがNHKは間違いなく、控訴するでしょう。
すでにNHKはこのさいたま地裁の判決を受けて、
「判決は放送法64条の受信設備の設置についての解釈を誤ったものと理解しており、直ちに控訴します。」
とのコメントの発表しています。
そしてNHKは、今後もテレビを持たないワンセグ携帯の所有者に対して、受信料の徴収を続けるといっています。
さいたま地裁判決で支払済の返金は?
では、今回さいたま地方裁判所の判決が出した、
ワンセグ携帯は受信施設にあたらないとして契約義務はない
といった判決が、でたことによって今までワンセグ携帯のみの所有にたいし支払をしてきた受信料は返金されるのでしょうか?
さきほども書いたように、この判決について、NHKは控訴する気ですので、今返金をいっても対応しないと思います。
それでも今、解約手続きをとりたいといったときは、
郵便局の内容証明付きでNHKに送付してください。
解約理由は裁判の結果によるとします。
おそらく、NHK解約は、拒まれることになるでしょうが、今できるとしたらそういった証拠をのこすといったことも必要となるかもしれません。
今後、NHKの控訴によってまた判決内容がかわることも考えられます。
ワンセグ携帯は受信設備に当たらないとの司法による判断が確定した後に解約の手続きを取るといったほうが確実です。
そして今まで支払った受信料の返金に関してですが、
判決確定の後、NHK受信センターに電話して、
「ワンセグ携帯だけもっていたのに強制的に受信契約と受信料払わされた。」
と申し出れば、受信契約から払った分返金する可能性もあるとは思います。
ただ、最高裁で確定しようがNHKは自主的に返還なんかしないことも考えられます。
そうなると利息制限法超過の過払い訴訟と同じく、民事で返還訴訟をしなくてはいけないということになります。
こうなると、利息制限法超過の過払い訴訟とは違い裁判費用と時間をかけてまで取り戻せる金額が小さいですので現実的には泣き寝入りとなる可能性も高いです。
とにかくどちらにしても受信契約控えや受信料領収書や口座引き落としされた証拠になる通帳のコピーしたのを手元におくことをしておきましょう。
あとは、過去の支払い期間中にTVをなかったことをの証明などが必要といっててくる可能性もあります。
そうなるとなかなか証明などが難しいですね。
ま と め
NHKの受信料は、いろんな問題がでてきています。
ワンセグの携帯所持のみの受信料契約に関してもとにかく、言われるがままに支払っている方、また無視されている方もおられます。
そういった人によって対応がかわるといったことも問題です。
そもそも「法律的にNHK受信料を支払う義務は一切ありません」。
NHKとの契約が法律上義務であり、その規約の中に受信料支払い義務があるだけです。なので、受信料を払わないこと自体は刑事事件には問われないのですね。
今回問題となったワンセグ携帯電話は、電話として機能するものです。
ワンセグ機能はオマケでしかないのでこのような判決も納得できます。
そうなると幾ら小さくてもTV視聴を目的としたポータブルTVは契約対象になるかもしれません。
とにかく、ややこしいです。
明確な線引きが必要ですね。
ちなみに今回の訴えをおこした市議は「NHKから国民を守る党」であるといいます。
とくかく今回の、判決の今後、最高裁までまだまだかかりそうな裁判の行方を見守らないといけないですね。