現在の日本では4人に1人が高齢者という超高齢社会をむかえています。それによって急増する認知症高齢者が大きな医療・社会問題となっています。
65歳以上の高齢者のうち認知症を発症している人は推定10~15%です。
また、新たに認知症と診断される患者の数は、日本を含むアジア地域が490万人で世界全体の49%を占め、もっとも多いのです。こういったことから考えてもまわりや自分や家族やまわりの人も含めて認知症と無縁でいるということはできない時代です。
今回は、もしかして認知症かもと思ったときに確認したい認知症の初期症状やその後の対応や早い時期からしておいた方がいい予防法そして、認知症に効果的な食事と頭にいい言われる油などをお伝えします。
認知症初期症状とは?
脳は人間の活動をほとんどコントロールしている司令塔の役目を果たしています。
それがうまく働かないようなると、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなってしまいます。
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまう、脳の働きが悪くなったりしたことでさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態です。
初期症状として出てくものは、このようなものです。
- 同じことを何度も聞いたり、言ったりする
- 忘れ物や探し物が多くなる
- 失敗が多くなり、人のせいにしたり、言いわけをする
- 約束の日時や場所を間違える
- 物の名前や人の名前が出てこない、あれ、それなどいうことが多くなる
- 単純な仕事や計算に時間がかかる
- 料理を焦がすなどの失敗することが増えてくる
- 探し物が多くなったり、物を置き忘れる、
- 日付、曜日、月がわからない
- いつもの道がわからなくなる
- 勘違いや誤解が多くなり、話がずれ噛み合わない
- 落ち着きがなくなり、怒りっぽく、頑固になる
- 判断や決定することができなくなくなった
- 怒りっぽくなった、イライラ落ち着かなくなる
- 相手の意見を聞かない
- 疑い深くなったり被害妄想をする
- 薬の管理ができなくなる
- 買い物や預金をおろすなど、お金の使い方がわからなくなる
- 身だしなみに構わなくなり、洋服に気を遣わず、だらしない恰好や季節外れの格好が増える
- きれいにしていた人がお化粧をしなくなる
- ぼんやりしていることが多くなる
このような変化が出てきますここに挙げている中でもひとつではそんなに気にならないこともあると思いますが、これらが認知症の初期にでやすい行動なので複数該当するなと思う方は早めに検査を受けてみるといいと思います。
実際の経験からですが、親がそのようになったときはなかなかそんなに気にすることもないのかなと思っていたら、1カ月2カ月後にはどんどん進行していってしまったりしてしまいました。
認知症は、進行を遅くすることはできても完治することはありません。
できるだけ初期の段階で専門家に判断してもらってください。
認知症と思った時の対応は?
上記にも書いているように、認知症は早期発見、早期治療が何よりも大切です。物忘れがひどくなったり、同じことを何度も言ったり、ちょっとした変化や言動があった場合は専門医に相談をすることです。
本人は、なかなか認めにくいものですが、ご家族が予防のためにも必要だということをうまくいって連れてってください。
最近は「物忘れ外来」といったものもありますので抵抗感がある方はそんなところからで診断してもらうのがいいですね。
最初は家族もなかなか気づきにくいものです。ただ、みんな「ちょっと物忘れがひどいかも?どこか変じゃないかな?」ぐらいのところから始まります。
認知症という言葉は本人も家族もあまり認めたくないものです。
ただ、わからないままで叱責したり、間違いを正したりすると本人は屈辱感を持ったり、家族に対する敵意を抱いたりするのは進行を進ませることにもなりかねません。
ありのままの姿を受け止めてあげて専門家に相談することが大切です。
認知症の兆候かもしれないとおもっても「それ以外の病気だった」という場合があります。
また、認知症であっても、原因となる病気があっては早期治療でまれに治るというものがあったりします。
そしてなにより、早期の対応で進行を遅らせられます。
悩んでいる間に、進行してしまいますし、できる治療効果もでにくくなります。より深刻な状態になるまでに専門の医師の下で診断してくださいね。
その場合は、できるだけ認知症の診察を経験してきた信頼できる医師の下を訪れることが重要になります。
もしも医師が知識や経験不足で適切でない投薬などをすると、逆に症状が悪化する場合もあります。
認知症予防に効果的な食事とは?
認知症予防にはいろいろな食事が効果的だとは言われていますが、その食事に手間がかかってしまったり、継続できなくてはなんの意味もありません。
ここでは継続しやすく簡単に今の食事にちょっと気を付けるだけで認知症予防に効果的される食事の方法をお伝えします。
今回、注目するのは「コリン」の効果です。
■「コリン」とは?
「コリン」は、体内でつくられるビタミン様物質です。
ビタミン様物質とは、体内で合成することができ、ビタミンの働きに類似した作用を人体に及ぼすもので、厳密にはビタミンの定義と異なる物質です。なのでビタミンと区別するために、総称して「ビタミン様物質」と呼んでいます。
なので外部から摂取する必要のある「必須ビタミン」とは分類が異ります。しかし、高血圧の予防のほか神経障害の治療などにも使われており、体の健康にとって有効であるとわかっています。
「コリン」は水溶性のビタミン作用物質で、ビタミンBの一種と考えられています。
また、リン脂質の構成物質でもあるのです。ちなみに、リン脂質とは細胞膜を形成する際に主となる成分で体内で脂肪が運搬・貯蔵される時に、たんぱく質と結びつける役割を担っていたり、情報伝達にも関わっています。
そして最近さまざまな研究から、脳の働きに関しても良い影響をもたらすのではないかと考えられてきています。
食事で「コリン」をたくさん摂取している人々は、記憶力が良好で、認知症の発症につながる脳変化が少ないということを言われます。
私たちが日常口にしている食品の中にも、コリンを多く含む食品は存在します。
そのような食品は「コリン食」と呼ばれています。
多く含まれるのは、
牛乳、卵黄、海水魚、レバー、鶏肉、牛乳、大豆、いんげん豆、ナッツ類などです。
深海魚は別としてかなり身近にある食べ物ばかりです。
卵などは、以前は一日 一つ以上はコレステロールが多くてとらないようになど言われてましたが、最近根拠のないということで一日一つ以上でも食べてOKとなっています。
牛乳なども習慣にされている人もいると思います。
実際、まわりではやくから認知症の診断をうけた人は鶏やレバー、牛乳などが嫌いでした。
それだけが原因とはいいきれませんが、
毎日の牛乳と
卵料理、鶏肉料理を多く食べる
ナッツ類などをおやつに入れる
といったことはあまり負担がなく続けれられるのではないでしょうか。
次に紹介する油もいつもの食事に少しかけて食べるといったことで何か別に認知症予防用に作ったりしなくても摂取することができますよ。
■チョコレート
愛知県内でも成人病の患者数が多いという蒲郡市の地元の愛知学院大学と愛知学院大と食品メーカーの明治が行った共同で高血圧患者に対しての実験を行った。
カカオ含有量72%の“高カカオチョコレート”を4週間、毎日5粒ずつ(約25g)摂取した結果、正常値に近い血圧へと改善するなどの結果がでたといったことだったが、その実験で「チョコレートが認知症の予防に繋がる可能性がある」と愛知学院大学心身科学部健康栄養学科の大澤俊彦教授が発言した。
それは脳内で記憶や学習能力をつかさどる海馬という部分に、BDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる脳の栄養分が多く含まれているのだが、そのBDNFがチョコレートに含まれるカカオポリフェノールの摂取により増えるといったことが確認されたそうです。
チョコレートもちょっとカカオの含有量の多い高カカオチョコレートにかえるといったことも簡単にできるので朗報ですね。
認知症を進行させないために頭にいい油
認知症に効くと最近言われている油もたくさんあります。
今は、スーパーにでも置いて手に入りやすくなっていますのでさっそく生活に取り入れてくださいね。
■亜麻仁油(アマニ油)
亜麻という花の種子(亜麻仁)からとれる亜麻仁油(アマニ油)には、オメガ3脂肪酸のひとつα-リノレン酸が約6割も含まれています。
これは、比較的α-リノレン酸を多く含む大豆油や菜種油でも6~7%であることからみても、驚異的な数値ですね。
α-リノレン酸は脳の神経細胞によいと言われています。
なぜ脳細胞によいのかというとα-リノレン酸は、体内に入ると、ドコサヘキサエン酸の原料となるからです。
認知症に深く関係している海馬では脳の他の部分に比べて約2倍もの量のドコサヘキサエン酸が必要だと言われています。
ドコサヘキサエン酸は、記憶を司るニューロンを取り巻く膜を作るために必要不可欠な物質なんですね。
ニューロンから飛び出すシナプシスという樹状突起を伸ばしたり、維持したりすることができるのもドコサヘキサエン酸があるからなのです。
ですので認知症をはじめとし、記憶や脳にかかわる病気には、α‐リノレン酸を多く含む亜麻仁油を摂るのが効果的なのです。
しかし、αリノレン酸を含むオメガ3脂肪酸は、酸化しやすく、熱に弱いのが欠点です。
ですので、炒め物などに使っても効果はありません、サラダなどにかけるといったことが日常に使いやす方法になります。
■えごま油
えごまというシソ科の植物の種子から採取される油「ごま油」は、亜麻仁油と同じく的α-リノレン酸を多く含まれています。
亜麻仁油との違いは、えごま油にはルテオリン、亜麻仁油にはリグナンというポリフェノールの一種が含まれている違いはあります。
α-リノレン酸も亜麻仁油と変わらないぐらいの含有量です。
味は、えごま油の方が癖が少なく、使いやすい味なのかもしれません。
熱に弱い特徴もα-リノレン酸に関する特徴なので同じです。
好みで摂取してもらえればと思います。
納豆などにかけるのもお勧めです。
■ココナッツオイル
アメリカの医師が出版した本でブームに火がついたのが、「ココナツオイル」です。
食事に加えることで認知症が改善するといわれています。
アマニ油と違って熱に強いのでスープや温かい飲み物に混ぜたり、炒め物などにも使えます。
認知症の原因は、脳の神経細胞でグルコースが利用できなくなり、エネルギー不足になり、脳細胞が死滅していくたことがひとつだとされています。
その脳へのエネルギーの吸収に「ケトン体」という物質がエネルギーの代わりとして、脳の神経細胞を活性化してくれます。
「ケトン体」は、特定の中鎖脂肪酸から、肝臓生成されて脳に届きます。
ココナッツオイルは、この中鎖脂肪酸が食品の中で一番多く含まれていいるのですね。
そのため、グルコース不足によっておこると言われる認知症に効果があると言われます。
ココナッツオイルは、においがあまく、料理に使うのには好みがわかれるところです。
コーヒーなどに入れるのが手軽でお勧めです。
ま と め
今回は、認知症初期症状とそのときの対応そして認知用予防に無理なく続けられる効果的な食事と認知症に関わる頭にいい油をお伝えしました。
脳の異常は、実は認知症を発症する20年も前から始まっているといわれています。
認知症の発症リスクが高まるのが60代以降だとすると40代から予防を意識することも大切です。
認知症予防は、早く始め過ぎということはありません。
そして、ご家族などの身近な人が認知症の初期症状かもと思った時は、まだ大丈夫だと見逃さず、専門の医療機関での早めの診断をお勧めします。
認知症という病気やその症状を知らない人は、自分や家族に起こっている異変には気づきにくいのですが、とにかく進行を止めるためにも迅速な対応を心がけましょう。
認知症の予防に関してもそんなに大げさなことではなく、いつもの食事にちょっと加えるだけのエゴマ油やアマニ油などとても簡単です。
今すぐにでもはじめることでいつまでも自分らしく生活を送ることができると思います。
認知症予防を意識した生活を是非始めてみてください。