乳児ボツリヌ症は1歳未満の赤ちゃんがが特に気を付けなれればいけない病気です。
菌の潜伏期間と初期の症状や死亡例などと大人もかかる病気なのか?蜂蜜がダメな理由などお伝えします。
乳児ボツリヌス症とは?
乳児ボツリヌス症とはどのようなものなのでしょうか?
■乳児ボツリヌス症にかかる対象年齢は?
乳児ボツリヌス症にかかるのは1歳未満の赤ちゃん(乳児)です。
特に注意が必要なのが、生後3週~6ヶ月の乳児です。
1歳を越えるころになると、正常な大腸細菌叢(ちょうないきんそう)が形成され、発症しなくなります。
■乳児ボツリヌス症の原因
乳児ボツリヌス症の原因は、腸の粘液の自浄作用が未熟でまだ、大腸細菌叢が形成されていない1歳未満の乳児の体内にボツリヌス菌がはいることによっておこります。
体内に入るとボツリヌス菌の胞子が腸に吸収され、神経毒(神経細胞を侵す毒素)を生産する細菌に育ってしまうのです。
■大腸細菌叢とは?
では、大腸細菌叢とはどういったものなのでしょうか?
大腸細菌叢は、ヒトや動物の腸内で一定のバランスを保ちながら共存している多種多様な腸内細菌の集まりです。
「腸内フローラ」といったことばもきいたことがあるのではないでしょうか。
その働きのひとつに外部から侵入した病原細菌が腸内で増殖するのを防止する感染防御の役割などがあります。
こうしたものがまだ出来上がっていない年齢が1歳未満の乳児ということですね。
■ボツリヌス菌とは?
ボツリヌス菌は土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌です。
嫌気性菌ですので、生育に酸素を必要としません。
そして、ボツリヌス菌は世界中に存在しています。
主に
・土
・川、湖沿岸の水底
・魚、哺乳類の腸の中
そして、
・蜂蜜
です。
ボツリヌス菌の芽胞は、低酸素状態に置かれると発芽、増殖が起こり、毒素が産生されます。
乳児ボツリヌス症の主な症状
■乳児ボツリヌス症初期症状
乳児ボツリヌス症の初期の症状の特徴ですが、
5日以上続く便秘になるといったものです。
90%がこの症状が出るといいます。
その他の症状にはこのようなものがあります。
・母乳やミルクをあまり飲まなくなった
・泣き声が小さい
・顔が無表情になる
・頭を支えられなくなる
症状がひどい場合だと、呼吸困難や呼吸停止に陥ることもあります。
■乳児ボツリヌス症の診断
乳児ボツリヌス症の診断は、赤ちゃんの便や血液のなかにボツリヌス菌が存在するかどうかで判断します。
乳児ボツリヌス症の治療法
乳児ボツリヌス症の治療法は、主にボツリヌス免疫グロブリンと呼ばれる静注薬になります。
この治療は入院期間を短縮し、症状を緩和します、
回復には、数週間を要します。
また、乳児ボツリヌス症は抗生物質は効きません。
ボツリヌス菌の潜伏期間
乳児ボツリヌス症の場合は、ボツリヌス菌の芽胞が腸内で成長していくことによって、毒素が強く出ておこるものですので潜伏期間は長いです。
乳児ボツリヌス症の症状がでるまで3~30日もあります。
乳児ボツリヌス症の予防法!ママは蜂蜜食べていい?
乳児ボツリヌス症予防法ですが、主な原因食品としては蜂蜜がありますので、
1歳未満の乳幼児には絶対蜂蜜は与えないことです。
厚生労働省も、「はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため満1歳まで使わない」と発表しています。
コーンシロップにや黒糖にもボツリヌス菌の芽胞が紛れ込んでいる可能性がありますので避けたほうがいい食品です。
ボツリヌス菌の芽胞は熱にとても強いのが特徴です。
ですので少々の加熱で調理してもなかなか死滅させることができません。
では、母乳をげているママは蜂蜜などを食べていいのかですが、
母乳をあげていてもママは蜂蜜を食べても大丈夫です。
ママは免疫が安定しているので、ボツリヌス菌の芽胞を取り込んでしまうことはありません。
ですので母乳へ移行することはほぼないです。
蜂蜜を食べてもOKですが、赤ちゃんが間違えて口にしないように、お皿などは注意して分けてくださいね。
このように乳児ボツリヌス症は赤ちゃんの口にするものに注意しておけばほとんどの場合予防できます。
1歳未満まではアレルギー症状がない場合でも市販の食品などを使うときは特に原材料、成分表などで蜂蜜が使われていないかなど確認しましょう。
乳児ボツリヌス症は大人もかかる?
ボツリヌス菌の芽胞は、大人が食べても害はありません。
先ほど言ったように1歳を越えるころになると、大腸細菌叢が形成されてくるからです。
しかし、ボツリヌス菌から生成される毒自体は大人に対しても食中毒症状を引き起こす原因となる毒性のある菌です。
ボツリヌス菌の芽胞が食品に混入したあと、食品の保存条件が酸素のない嫌気状態になると菌が発育していきます。
そして、増殖して産生されたボツリヌス毒素を、その食品とともに食べてしまうと食中毒になります。
ボツリヌス毒素は、自然界に存在する毒素では最も強毒で、ふぐ毒の1,000倍以上であると云われています。
ボツリヌス毒素(神経毒素)で、神経伝達物質であるアセチルコリンに作用して、神経と筋肉の伝達を遮断するため、体の筋肉が麻痺を起こすことになるのです。
具体的な症状は、
初期症状で視力低下、立ちくらみなどの眼の異常です。
そして、
・左右対称に体を動かすことができなくる
・つまずいたり、ころんだりして、動作がおかしくなる
・食べ物を飲み込めなくなる
など全身の筋肉が麻痺してくる症状になります。
乳児ボツリヌス症の死亡例は?
乳児ボツリヌス症の治療では、呼吸管理や輸液をして症状を軽減させる対症療法、近年では抗体を投与する集中治療を行います。
米国の統計によると、乳児ボツリヌス症の致死率は1%未満です。
しかし、2017年の4月に東京都で統計が残る1986年以降、乳児ボツリヌス症での全国初の死亡例が確認されています。
生後6カ月の男児です。
この男児は、約1カ月間にわたってハチミツが入った離乳食を食べさせていたということです。
ようなことですので、かなり特別な例です。
病院できちんと治療を受ければ、後遺症もなく完治することがほとんどです。
ただ、感染した赤ちゃんのうんちには、長期間に渡ってボツリヌス菌が混入することがあるので、2次感染には十分な注意をしてください。
ま と め
乳児ボツリヌス症についていえることは、「1歳未満の乳幼児は蜂蜜を食べてはいけない!」といったことですね。
間違って1歳未満の乳幼児が蜂蜜などを口にしてしまったら、便秘などの症状がつづいたり、ミルクをあまり飲まなくなったり、といった症状がでないかみて、乳児ボツリヌス症が疑われるときはすぐに病院を受診してください。
ボツリヌス菌の芽胞は、大人が食べても害はありませんが毒素を産生しまったものを含んでいる食品を食べると大人も食中毒の症状がでます。
症状がでてきたら早めに医療機関に行ってくださいね。