年末年始の食卓の華といえば、おせち料理ですね。
年々豪華なものや、変わり種のおせちが出てきて、お正月のおせち料理を楽しみにされている方もたくさんいるのではないでしょうか?
おせち料理の歴史は長く、その1つひとつの具材には願いや思いが込められています。
今回はおせち料理の起源や歴史、そして具材の意味を子ども向けにわかりやすくご紹介していきます。
毎年何気なく食べていたおせち料理も、意味や由来を知ると一味違った楽しみ方ができますよ。
おせち料理の起源と歴史
おせち料理の起源は古く、紀元前2~3年前の弥生時代に始まったといわれています。
もともとは、収穫物の報告や感謝の意を込め、穀物などをお供えしていたようですが、暮らしや文化が豊かになるにしたがって山海の幸を盛り込んだご馳走となり、現在のおせちの原型ができました。
時代が経ち、中国から五節句(ごせっく/季節の節目に五穀豊穣や無病息災を願う日)という行事が伝わってきました。
奈良時代になると宮中で「節会(せちえ)」という宴が催されるようになり、そこで神様に供えられた料理を「御節句(おせちく)」と言います。
その「御節句」が現在のおせち料理の始まりといわれています。
本来は、お正月だけのものではありませんでしたが、江戸時代に一般大衆に広まった際に
一年の節日で最も大切な、お正月にふるまわれる料理を「おせち料理」と呼ぶようになりました。
お節料理の具材の中身と意味
■重 箱
おせち料理は、さまざまな種類の料理が数段重ねの漆塗りの重箱に美しく整えられています。
重箱に詰めて重ねるのには、「おめでたいことを重ねる」という願いが込められています。
伝統的なおせち料理は4段重ねで、
上から順に一の重、二の重、三の重、与の重と呼びます。
ポイント : 四重目は「四=死」を連想させて縁起が悪いので、「与」という字が使われています。
一から与の重が春夏秋冬を表していて、つめ方や料理の組み合わせは地域や家庭によってさまざまですが、今回は最も代表的なつめ方をご紹介します。
ではさっそく、一の重から具材とそこに込められている意味を見ていきましょう。
■一の重・口取り/祝い肴(さかな)
重箱を重ねて、一番上になる一の重には正月にふさわしい祝い肴と口取りをつめます。
口取りとは、かまぼこやきんとんなど酒の肴になる甘めの料理のことです。
その中でも、数の子・田作り・黒豆を「三つ肴」と呼び、正月には欠かせないものです。
・数の子
ニシンの子どもである数の子は、卵の数が多いことから「子孫繁栄」を願う、縁起のいい食べ物です。
・田作り
片口イワシの稚魚を干して飴炊きにしたものです。片口イワシを農作物の肥料として使った畑が豊作になったことから「五穀豊穣」を願うものです。
・黒豆
邪気払いの意味と、黒く日焼けするほどマメに、勤勉に働けるようにとの意味が込められています。
・たたきごぼう
根っ子が地中のおく深くまで入っていて、家や仕事・家族がしっかり根を張り安定することを願います。
・かまぼこ
紅白、または松竹梅の柄などでおめでたさを表します。
赤は魔除け、白は清浄の意味が込められています。
・栗きんとん
栗には「勝ち栗」という縁起の良い意味が込められており、きんとんは「金団」と書いて、「金運向上」の意味があります。
・伊達巻き
形が巻物に似ていることから、「学問・教養」をもつとの意味があります。
昆布巻き
「喜ぶ(よろこぶ)」のごろ合わせとして、家族の幸せを願った意味が込められています。
■二の重(焼き物)
縁起のいい海の幸を中心とした焼き物を詰めます。
・車海老
海老は長いヒゲを持ち、曲がっていることから「長寿」をイメージさせるため縁起がいいといわれています。
・ブリの照り焼き
ブリが出世魚であることから、「出世」を願った料理です。
・タイの姿焼き
「めでたい」のごろ合わせとなり、縁起がいいとされています。
・うなぎ
「うなぎのぼり」という慣用句から、運や地位が上昇していくという意味があります。
■三の重(煮物)
山の幸を中心に、家族が仲良く結ばれるよう煮しめます。
・れんこん
穴があいていることから「将来が見通せるように」との意味があります。
・さといも(八頭)
さといもの一種の八頭はたくさんの子芋がつくことから、「子宝」を願ったものです。
・芽出しくわい
最初に大きな目が出ることから「めでたい」という意味がかけられています。
・ごぼう
家族の基盤・土台が頑丈であること、細く長く育つことを祈願した食べ物です。
■与の重(酢の物)
日持ちする、酢の物などをつめます。三段重の場合は、酢の物も焼き物と一緒に、彩りよく詰めるとよいでしょう。
・紅白なます
大根とにんじんを用いたなますは、祝い事に用いる紅白の水引きにあやかるものです。
・菊花かぶ
邪気を払うとされる菊は「不老不死」のシンボルとされています。
・こはだの栗漬け
コハダを酢締めにし、それをクチナシで黄色に染めた粟につけたものです。
コハダはブリと同様に出世魚なので「出世祈願」の意味があり、黄色く染まった粟は「五穀豊穣」の意味があります。
ま と め
おせち料理の由来や具材の種類について詳しく見てきましたが、いかかでしたか?
こんなにも幸せを願った意味が込められていると知ると、あれもこれも食べたい!と思いますよね。
子どもたちと一緒に、おせち料理を作ってみるのもいいかもしれませんね。