「RSウイルス感染症」っていうことばを聞いたことがありますか?
「RSウイルス感染症」は、秋から冬にかけて流行する感染症です。
代表的な感染症に比べてあまり知られいないと思いますが、乳児が感染すると重症化するとて危険で入院することももちろんあります。
RSウイルス感染症の症状の説明と乳幼児大人と子供で違う病態の治療方法や予防法をお伝えします。
RSウイルス感染症とは?
RSウイルスのRSはどういった略称かというと
「Respiratory Syncytial virus」
Respiratory (レスピラトリー) 呼吸器の
Syncytial (シンシチアル) 合胞体
virus (ウイルス)
のRSをとっています。
RSウィルスに感染し、発症することを「RSウィルス感染症」と呼びます。
そのRSウイルスは、主に秋から冬に流行し、風邪に似た症状をもたらすウイルスです。
RSウイルスのピークは12月~1月になります。
RSウィルス自体は比較的不安定で、55℃以上の熱や界面活性剤、クロロフォルム、エーテルなどにより不活発になるといわれています。
RSウイルスは、実は誰もが感染するウイルスです。
生後1歳までに半数以上そして2歳までにほぼ100%の子どもがRSウイルに感染するといわれています。
なんと少なくとも1度は感染するというんです。
そんなに身近にあるウイルスなんですね。
特徴は、非常に感染力が強いこと、免疫がつきにくいため何度もかかります。
症状は、軽い風邪のような症状から重い肺炎までさまざまです。
RSウイルスに初めて感染発症した場合は重い症状になりやすいです。
特に乳児期早期(生後数週~数カ月間)にRSウイルスに初感染した場合は細気管支炎、肺炎といった重い症状を引き起こすといったこともあります。
RSウィルスでの入院者は年間で5~8万人もいます。
これは、インフルエンザによる入院の約10倍にあたります。
死亡率も1~3%あるのです。
先にも言ったとおり、重症化するのはほとんどが乳児です。
ほかの感染もそうですが、乳幼児の時期には細心の注意をしていかなくてはいけないですね。
また、低出生体重児や先天性心疾患、慢性肺疾患、免疫不全などを持つハイリスク児は特に注意が必要です。。
RSウイルス感染症の大人と子供で違う病態・症状について
RSウイルスの症状は、大人と子供では違います。
何度も言っているように、乳児期早期(生後数週~数カ月間)には特に重い症状になりやすく注意が必要です。
その症状の病態をまとめておきます。
■RSウイルス感染 大人の症状と病態
健康な大人がRSウィルスに感染しても、多くは、ふつうの風邪の症状で回復していきます。
症状として現れるのは、軽い鼻風邪と変わりません。
鼻水が多くなる
といった症状です。
なぜ鼻水が多くなるかというと、鼻の粘膜にRSウイルスが付着した時、鼻はウイルスを流してしまおうとするために、鼻水を出すためです。
大人の場合、既に何度も知らないうちにでもRSウィルスに感染してきているため、免疫ができています。
ですので感染してもあまり症状がひどくなることは少ないです。
多くの場合、症状は1週間ほどで治ります。
■RSウイルス感染 赤ちゃん・乳幼児の症状と病態
生まれたばかりの赤ちゃん乳児期早期(生後数週~数カ月間)がRSウィルスに感染すると、肺炎など重篤な症状になることがあり一番危険です。
乳幼児の症状としての特徴は、
喘鳴(ぜんめい)です。
3歳以下の子に多くみられる症状です。
喘鳴とは呼吸する時に「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」と音がする症状のことです。
喘息発作のような呼吸音です。
痰やウィルスが喉や気管支に達することで喘鳴が出るようですね。
最初、このような乾いた咳の症状が見られて、
発熱、鼻水が数日続き、多くは軽症で済みます。
熱に関しては、乳児の場合は38℃台が多く、39℃以上の高熱はまれです。
しかし、重症化のケースになると始まりはふつうの咳でありますが、それがだんだん咳が悪化して「ゼイゼイ」と苦しそうな呼吸になってきたあとに
そうして強い咳によって、肺炎や気管支炎を引き起こしてしまい、最後には呼吸困難といった症状にもなってしまいます。
「ふつうの咳」→「呼吸が浅くなる」→「ゼイゼイする」→「強い咳や痰がつまる」→「肺炎や気管支炎」
といった症状ですね。
さらには、生後1ヶ月未満児の場合、診断が困難な場合があり、突然死に繋がる無呼吸発作にも繋がります。
全部がそのような重症になるわけではなく、7割は、通常のかぜのような症状で済みます。
■RSウイルス感染 妊婦の症状と病態
妊娠中にもRSウイルスに感染してしまうことがあります。
通常、大人は免疫があるのですが、妊婦は体力や抵抗力が弱るためRSウィルスに感染しやすくなります。
妊婦がRSウィルスに感染しても、お腹の赤ちゃんに基本的に影響はないとされています。
しかし、妊娠中はあまり薬が飲めないため、RSウィルスにかかってしまうとつらいですね。
できるだけ安静にして体力の回復が早くできるようにしましょう。
RSウイルス感染症の治療方法
RSウイルス感染症に特効薬はありません。
対症療法が一般的になります。
熱が出たら解熱剤などで熱を下げる。
咳が止まらない場合には咳止めを飲む。
炎症を抑える場合にはステロイドを使用して症状を和らげる治療を行う。
といったことです。
症状が、鼻水が出てくるという症状である場合は、出た鼻水をすすってしまうはないようにしなくてはいけません。
RSウィルスが体内に再び戻ってしまいます。
鼻をかんでウィルスを外に出すようにしましょう。
初期は鼻水がサラサラしていますが、鼻水が続くとだんだん粘り気が強くなり量が増えてきます
そのあと鼻水が黄色や緑色で粘り気がある場合は治りかけであるといわれています。
全体的には、咳や発熱などの辛さを和らげてあげるために、
水分補給、睡眠、栄養、保温
をして安静にして経過をみることが必要です。
RSウイルス予防
RSウイルスの予防なのですが、インフルエンザなどと違ってワクチンなどはありません。
新生児,乳児および幼児では、シナジスという予防薬(抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体)を月に1回注射することでRSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制といった予防はできます。
しかし、シナジスは高額です。
1回の注射にかかる費用が体重により使用量が異なりますが、8〜25万程度もします。(健康保険が適用や乳児医療証が適用される場合もあります。)
そのほかの予防策としては、RSウイルス感染は
飛沫感染と接触感染が感染経路になっていますので
・マスクの着用や手洗い
・うがいの徹底
などが予防策としてもっとも効果的です。
飛沫感染と接触感染が2経路が感染経路になっています。
感染した人の咳やくしゃみで飛散したウイルスを直接吸い込むことによって感染し、鼻や咽頭の粘膜で増殖します。
接触感染も多く、鼻汁や痰に含まれるRSウイルスが皮膚や衣服、玩具、またそれに触れた手指についても、4~7時間のあいだは感染する可能性があります。
そのRSウイルスがが眼瞼や鼻咽頭の粘膜と接触することでうつります。
また、ウイルス排泄期間は7~21日と長いため、感染が広がりやすいです。
ですので、日常的に手に触れるおもちゃやドアノブ、手すりなどはこまめにアルコール消毒を行いましょう。
流行期に生後6ヶ月未満の乳児を連れて外出をする場合には、人ごみを避けるなどの注意も必要ですね。
ま と め
RSウイルスは、誰もがかかる感染症のウイルスだということがわかりました。
乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に重症になる場合が圧倒的に多いのでお子さんがいらっしゃる場合には、感染しないよう、周りの大人たちには知識が求められます。
そうした、RSウイルスの特徴上、2歳を過ぎた子どもや大人が感染しても、症状が軽いためにRSウイルスだと気が付かないことがあります。
ですので乳児期早期の予防のためには、自身や上のお子さんなどが、風邪かな?と思う時、乳児にはなるべく近づかせないようにすることも必要です。
RSウイルス感染症の感染経路は、飛沫感染、接触感染が主です。麻疹や水痘、結核のような空気感染はありません。
いずれはみんなRSウィルスに感染してしまいますが、初めて感染する場合は、症状が一番重くなるため、感染時期を少しでも遅くすることが必要です。
ですので、感染の頻度を減らすための知識をしっかりつけていくことをしてくださいね。