「作製」と「作成」も両方とも「さくせい」と読みます。
これらの言葉は、どちらの漢字でもよく使う言葉です。
意味も同じように思われるので、漢字などの使い分けが難しい言葉ですね。
ポスターや法令には「どっちをつかったらいいのか?」他にもこんな時には?というように迷わないために、
「作製」「作成」意味の違いをしっかりと確認していきますね。
また、例文も入れて使い分け方のコツをお伝えしていきたいと思います。
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「作製」「作成」意味の違いとは?
「作製」「作成」は、両方とも前に「作」の漢字がついています。
ですので意味は同じく作ることです。
では、ひとつひとつでは、「作製」「作成」の意味を見ていきます。
■「作製」の意味
では「作製」の意味として、何をつくるのかですが、
「製」の漢字が入っていることで、『こしらえる』といった意味をもちます。
「手製」「金製」などで「製」が、使われていることからもわかるように物(ものごと)が主体です。
ですので、「製作」の意味は、「つくる」でも
機械や道具を使って物を作ることや芸術作品などを作り出すこと等に多く使われます。
■「作成」の意味
そして、「作成」の意味ですが、「成」の漢字には、『物事を仕上げる』、『成し遂げる』
という意味があります。
ですので、何かをゼロから作り上げていくことに対して使われます。
文章や記事、または、予算・計画など形のないものに対しても幅広く使うこともできます。
「作製」と「作成」使い分ける方法とコツ
■「作製」と「作成」使い分けと例文
今度は、「作製」と「作成」の使い分け方のコツを例文をあげてみていきます。
「作製」と「作成」使い分け
「作製」は、物(ものごと)が主体で物品を作ることに対して使われるといったことでした。
「製」の字はそもそも「布を裁って(たって)衣服をしたてる」という意味だったようです。
そこから、一般にも「物品をつくる・こしらえる」という意味になりました。
「製」の字を使った熟語は、「製法」、「製造」、「和製」などです。
「作製」は、
品物、図面、印刷物、家具、標本、地図などを作ることに使われることが多いです。
「作成」は、書類、計画などをいちから作りあげることのときに対して使われるといったことでした。
「成」の字の意味は、
『しあがる・できあがる』、
『しあげる・りっぱになし遂げる』となります。
これらに「作」が結び付いてできたのが「作成」です。
ですので「作成」は、書類、文書などを作ることに使われます。
また、法案や予算案、計画書、目録、試験問題、レポートなどに対しても「作成」を使います。
「作製」「作成」の例文
・図面を作製する
・チラシを作製(作成)する
・ポスターを作製(作成)する
・料理を作成する
・プログラムを作成する
「作製」と「作成」は「作成」の方が広い使い方ができます。
ですので「作製」と「作成」と両方使える場合も多いです。
「作製」が具体的なものが主体になるつくるといった意味の場合に使うのに対して
「作成」の「成」には『仕上げる』、『成し遂げる』などの何もない状態から作り上げる、というような意味があるといいました。
ですので「作成」は、形のあるなしに関わらず使えます。
つくる主体がそのものの「内容」部分なので、
「書類」、「文章」、「計画」など作り上げる際にも「作成」が使われますし、
「作文」、「論文」、「計画書」、「ソフトウェア」、「ホームページ」、「システム」に関しても「作成」を使います。
これに対して、
「作製」は、重要なのは「内容」ではなく、「必要な分を」作るという部分といった概念のときにも使われます。
例文であげると
優秀な卒論を集めて1冊の冊子を作るなどの場合は、
「優秀卒論集の作製をする」となります。
「作製」「作成」ポスターさくせいはどっちを使う?
少し、ややこしい使い分けで、
ポスターなどをつくるときは「作製」と「作成」どちらを使うのでしょうか?
「ポスター」といった、物をつくるので、「作製」でいいのではないかいったこともありますが、
ポスターは、いちからつくりあげるものとして、
通常、「作成」を使います。
しかし、仕事などで印刷物の納品としてのポスターさくせいは、
「作製」と使うこともあります。
ちなみに図面をつくるときは、
図面を作製すると書くといいましたが、図面もいちから作り上げるといった意味では
「作成」になりますが、製品といったものを作り出すとして「作製」を使うことが多いようです。
法令の場合は「作製」と「作成」?
では、法令の場合は「作製」と「作成」をどちらを使うのでしょうか?
昔の法令では、「作成」を一般的な用語としていました。
「作製」を使うのは特に書類や帳簿を作る場合にのみ用いられていました。
「法令用語改正要領」
(昭和29.11.25、昭和56.10.1一部改正、平成22.11.30一部改正)によれば、
「作製」は製作(物品をつくること)という意味についてのみ用いる。それ以外の場合は「作成」を用いる。
となっています。
ちなみに新聞・放送業界が基準としている『新聞用語集』からだと、
「作成」と使うときは、文書などの計画書をつくるとき、法案の作成のときといった使い方になります。
「作製」を使う場合は、物品などのときで、標本を作るは「作製」といった使い方になるとしています。
しかし、実際の紙面では、ほとんど広義の「作成」に統一される傾向にあるようです。
ま と め
「作製」と「作成」についての意味の違いと使い分けのコツを例文を等と使ってお伝えしました。
「作製」と「作成」の使い分けは両方使える場合と使えない場合があり、かなりわかりにくいです。
ポスターなどは、納品物としてなのか、ポスターを作ること自体をさしているかによっても違ってきます。
日本語は、同じ読み方でも漢字の違いで、意味が変わります。
漢字一文字にもっている意味をきちんと理解するといったことが使い分けで重要なところです。
意味の違いなどをしっかり確認して、正しい使い分けをしていきたいですね。