山芋と言えば、強い粘りと、しゃきしゃきする触感がたまらなく美味しい食べ物ですよね。
すりつぶしてとろろにしたり、お好み焼きのつなぎにしたりと料理の美味しさを引き出す存在として重宝します。
同じように、粘り気のある芋で、長芋や大和芋、自然薯といった種類がありますがその違いを知っていますか?
今回は、それぞれの味や栄養素の違いから、値段やとろろにするならこの芋!ということまでご紹介していきます。
山芋の特徴とは?自然薯と一緒?
■山芋と自然薯は同じ
通常、「山芋」と呼ばれているものは、正式名称は「ヤマノイモ」となっています。
「山芋」というのは品種ではありません。
ヤマノイモ科の植物の総称です。
もともとは、「山芋」は日本原産の品種を指していて、その呼び方も様々でした。
その呼び方のひとつに、「自然薯(じねんじょ)」と呼ばれることもありました。
つまり、「山芋」と「自然薯」は同じものということになりますね。
そのように山に自生する「自然薯」だけを「山芋」と呼ばれていましたが、
現在は、「大和芋」や「長芋」等の外来種も加わり、それらも含めて「山芋」と呼ぶようになっています。
■「山芋(自然薯)」の特徴は?
「自然薯」の特徴はというと?
粘り気が強いことに加え、
独特の甘みがあり風味がよいところです。
「自然薯」は、もともとは野山に自生していた植物です。
今では、農家で栽培・管理されて商品化されるようになってきています。
秋になって地上の葉が枯れる頃が本来の収穫の時期となっています。
収穫には手間がかかることから、少し高額で取引されています。
長芋の特徴とは?
「長芋」は「山芋(自然薯)」と同じ、
ヤマノイモ科ヤマノイモ属の一種ですが、自然薯とは、別の品種となります。
一般的に中国から伝わったものを指します。
長芋は、17世紀に日本に入ってきたといわれています。
見た目の特徴は、筒状の細長い形をしています。
味は、
水分が多く、
粘り気がやや少ないのが特徴です。
寒冷地でも育てることが可能で、
栽培方法も比較的簡単であるため、1年を通して収穫しています。
現在の流通量は「長芋」が最も多くなっていますので、
よくスーパなどでも「長芋」が一番よく見かけるのではないでしょうか。
大和芋の特徴とは?
大和芋はヤマノイモ科で、 奈良県在来種のツクネイモの品種の1つです。
したがって、
日本原種の山芋(自然薯)や、中国原産の長芋とは違う属性のものとなります。
しかも面白いことに、
関西と関東では、「大和芋」と呼ぶ芋の種類が違うのです。
関西で「大和芋」というと、「つくね芋」という古くから栽培されていた伝統野菜の1つを、
げんこつのような形をしたコクと粘り気の強い芋を指します。
一方、
関東では、手のひらのような形が特徴の「イチョウ芋」を「大和芋」と呼んでいます。
こちらも粘り気のある芋で、栄養価も非常に高いです。
同じ呼び名でも、関西と関東ではまったく違った品種のものを指しているんですね。
今回は、混乱を避けるため、「関東の大和芋(イチョウ芋)」を前提としてすすめていきます。
山芋「自然薯」「長芋」「大和芋」の味や栄養素や値段
それぞれの違いや特徴がわかったところで、ここでは味の違いや栄養素、値段の違いを見ていきましょう。
■山芋「自然薯」「長芋」「大和芋」の味と栄養素について
結果から言いますと、山芋(自然薯)と長芋、大和芋は同じヤマノイモ科の野菜のため、
含まれている栄養素や味に差はほとんどありません。
ヤマノイモ科には多くの消化酵素が含まれ、
この消化酵素にはタンパク質の代謝を助け、
栄養の吸収率を上げる効果があります。
しかし、細かく栄養成分を見ていくと、少しだけ差があるようです。
その違いとは、「水分量」と「カリウム」の成分差です。
「長芋」は山芋類の中でも比較的水分量が多く、
「大和芋」は山芋類の中でカリウムの量が最も多い種類です。
カリウムには利尿作用があるので、むくみ解消に効果的です。
一方、水分量が多い「長芋」は夏バテ防止、
そして女性の大敵である乾燥にも効果があり、
冬場の乾燥肌改善にも大きな力を発揮してくれます。
また、「山芋(自然薯)」と言えば、強い粘りが特徴です。
あのネバネバ成分は「ムチン」と呼ばれるもので、
ムチンは胃の粘膜を保護し、たんぱく質をしっかり吸収することが出来るようになり体力を補強する事が出来ます。
なんと便秘改善に効果的なうえ、抗ウィルス作用もあり、
細胞を活性化させる力もあるため老化・肌荒れ改善にも効きます。
しかし、このネバネバは熱に弱く、加熱すると多くの栄養素と共に失われてしまいます。
栄養素を効果的に摂るということならば、生で食べることをお勧めします。
■山芋「自然薯」「長芋」「大和芋」の値段の違いについて
「山芋(自然薯)」が約4000円だとしたら、
同じ重さの
「長芋」は、約1000円、
「大和芋」は、約1500円~2000円位です。
実に3~4倍の値段の差があります。
天然物の山芋(自然薯)は自生している場所を探すのが大変ですし、
芋を傷つけず周囲の土を掘り出すのに技術と手間がかかることが、この価格の差を生んでいるのです。
「自然薯」は近年、栽培方法が改良されて、
畑で効率よく栽培することができるようになってきましたが、
大規模に栽培される長芋にはまだまだ追いつきません。
「長芋」と「大和芋」は山芋類としてスーパでよく見かけますが、
「山芋(自然薯)」はあまり見かけず、このことからも希少価値が高い芋と言えますね。
山芋「自然薯」「長芋」「大和芋」のうちとろろにするなら?
とろろにするなら選ぶのはこの芋!という決まりはありません。
ですが、山芋の種類によって、水分量や粘りの強さなどの違いがあり、
それらを踏まえて「一番とろろ向きです!」といえるのは・・・
やはり、「自然薯」といえるでしょう。
山芋の特徴である健康に良いとされる粘りは、比較すると
自然薯 > 大和芋 > 長芋
の順になります。
自然薯は皮も一緒にすりおろしてとろろを作れば一番風味があるとろろが出来ます。
また、だし汁を入れると、程よい粘り気でいただくこともできます。
ですが、先ほども解説した通り、
山芋(自然薯)はとっても希少で高価なものなので、スーパーではあまり見かけません。
このため、比較的手に入りやすい「大和芋」を使うのが一般的なようです。
「長芋」は水分量が多く粘り気が少ないので、
とろろとしてよりは、短冊切りにして醤油などで頂くと、
サクサクとした食感を楽しむことができます。
また、だし汁を入れなくても丁度良い位の粘りのとろろになるので、
「牛丼」や「うどん」など味の濃い料理にとろろをかける場合は、
水分が多くあっさりした「長芋」のとろろが案外一番合ったりもしますよ。
ま と め
いかかでしたか?
山芋は「ヤマノイモ科」に属する芋類の総称でした。
日本古来のものは自然薯でしたが、中国からはいってきた長芋などもこのヤマノイモ科に含まれているといったことでした。
何気なく食べていた山芋には種類があって、それぞれに特徴があります。
どれも栄養素もしっかりあって、まさに女性の味方!です。
山芋は健康や美容にもいいことだらけの食物だといえますね。