毎月お給料からひかれる健康保険料や厚生年金の保険料。
結構な額の保険料が給与から控除されているなって感じている人も多いのではないでしょうか。
この金額は人によって額が違いますよね。
その額は標準報酬月額といるものによって決められています。
では、その標準報酬月額はどのように決められ保険額の計算をするのでしょうか?
その方法や計算時に交通費や残業代や賞与は含まれるのでしょうか?
また、随時改定や定時改定についてもお伝えします。
標準報酬月額とは?
「標準報酬月額」とは毎月の保険料計算の元となるものになります。
会社勤務など個人で毎月負担する健康保険料の額や厚生年金保険料の額は、この「標準報酬月額」で決まります。
健康保険料も厚生年金保険料もこれにそれぞれの料率をかけた
「標準報酬月額×保険料率」
になっています。
標準報酬月額の計算方法!何で決まるか?
「標準報酬月額」はどのように決まるのでしょうか?
「報酬の月額」となっているので毎月の給与の額かというとそうではなく、月の支払い給料額と完全に一致するわけではありません。
■標準報酬月額いつ決まるのか?
「標準報酬月額」はどのように決定されるのかというと原則、毎年1回の事業主から提出された届書によります。
その申告の給料(報酬)の平均額によって国が決定するのです。
時期は、毎年7月です。
新しく会社に入ったなどの場合は、社会保険の資格を取得した時に決まります。
1年間の給与から平均をだすのではなく、4月、5月、6月の給料(報酬)の平均額で決められるのです。
そして、7月に決定された標準報酬月額は、1年間大幅な給料の増減がない限り、9月~翌年8月まで同じ等級になり変動は原則ないのです。
■標準報酬月額には等級が決まっている
健康保険料や厚生年金料の計算の元になるもの「標準報酬月額」は、毎月の給料などの報酬そのものの平均金額ではありません。
○○〇千円以上~〇〇〇千円といった幅のある区分した等級によって決まります。
平成29年3月分からの協会けんぽの健康保険の等級は、50等級(58,000円から1,390,000円)にわかれており、厚生年金はそれよりもすくない31等級(88,000円から620,000円)までです。
この等級に先ほど4月、5月、6月の給料(報酬)の平均額をあてはめていくことで健康保険料や厚生年金料が決まります。
ですので、重要なのは4、5、6月の給与(報酬)となるのです。
この等級の幅は、1万円程度から、多くなると6万円程度の幅がありますので、同じ等級でも給与額に差あります。
標準報酬月額に交通費や賞与や残業代は含むの?
その標準月額の計算の報酬には通勤交通費や賞与や残業代も含まれるのでしょうか?
これによってずいぶん違ってきますので気になるところです。
■標準報酬月額を算出する根拠の給料とは?
基本的には、毎月受け取る金額はどのような名目であってもすべて含む報酬であります。
基本給や○○手当といったものも全部合わせたものです。
ですので、
「通勤交通費」
「残業代」
も報酬に含まれすべきものになります。
ということは、同じ給料の人であっても、通勤交通費が高い人は標準報酬月額が高いといったことになります。
では、交通費をその期間に支給せずに違う月にまとめて定期代を6カ月分といった支給すれば含まれずにすむかというとそれはできません。
これは本来1カ月ごとに支払うものを便宜上まとめて払っているとみなされて1カ月分の額を含んで計算されます。
このように残業代も含まれるということですので、そうなると繁忙期が4月から6月の業種であれば、ずっと標準報酬月額が高くなってしまいますね。
では、「賞与(3月を超える期間)」も同じかというとそうなると4月~6月に支給する会社は、大きく標準報酬月額が高くなるといったことにもつながりますので、「標準賞与」として別途保険料等がかかるといったことになります。
含まれないものは、通常とちがって臨時に会社よりでる見舞金や大入り袋等です。
■賞与(ボーナス)保険料の計算方法
「賞与」は、別途保険料がかかるとのべましたが、賞与の保険料の計算は、どのようにするのでしょうか?
賞与に対しては、標準報酬月額のような等級はありません。
単に賞与の額に保険料率を掛けて計算するだけです。
1000円未満の端数切り捨てた賞与額を「標準賞与額」と言います。
■健康保険料は都道府県ごと決まっている
中小企業等に働く従業員さんやそのご家族が加入されている健康保険は、2008年10月から「協会けんぽ」といったところで運営されています。
それ以前の「政府管掌健康保険」は、国(社会保険庁)で運営していました。
そのため、全国で同じ保険料を加入者が支払っていました。
しかし、「協会けんぽ」は都道府県ごとに保険料を設定しています。
ですので保険料率が県によって若干の違いがあります。
その都道府県は会社の申請地になりますので、住所ではありません。
例えば、勤務先の会社が東京本社で「協会けんぽ」に一括していた場合はその社員の住所であろうと、東京都の保険料率で保険料が計算されます。
標準報酬月額の随時改定と定時改定
■定時決定とは?
社会保険料の計算の基礎となる「標準報酬月額」は、初めて社会保険の資格を取得した時と毎年7月の定時決定時に決まってしまいます。
4月、5月、6月の平均の報酬額の合計の平均の額で決定されます。
そして原則として翌年8月まで変更なしの固定です。
この月額は支払いの基礎となる日数が17日以上あるもので算定します。
4~6月のうちの1カ月がそれ以下の日数の支払いであれば、残りの2カ月の平均額より決定します。
これが定時決定です。
■随時改定とは?
それに対して、「随時改定」は、昇格があったり、降格したりで1年間の間に給与額などの大きな変更があった場合に「標準報酬月額」の改定を行うことです。
1年間固定された保険料を算出する為の「標準報酬月額」を定時の改定までに改定できる「随時改定」はこのような時にかぎられます。
・報酬額が3ヶ月続いて報酬額の変動が「標準報酬月額」にすると2等級以上変わった
・かつ3ヶ月間の支払基礎日数が全て17日以上であること
・また、その変動は、固定的賃金の変更または、賃金(給与)体系の変更(時給制から月給制に変わったなど)があったとき
それらすべてがあてはますときになります。
固定的賃金とは、働いた時間や能率に関係なく毎月一定額が支払われるものです。
基本給、通勤手当、家族手当、役職手当などですね。
それに対し、非固定的賃金とは、働いた時間や能率に応じて支払われる、時間外手当、皆勤手当など毎月一定額でないものです。
固定的賃金の変更は、昇給や降級のほかにも、歩合給の単価や、能率給の割増率が変わったようなときにもありますね。
ということで出勤日数や残業時間の増減によって賃金が変動したようなケースは、非固定的賃金の変動であるため随時改定の対象にはあたりません。
「標準報酬月額」は固定的賃金の変動が発生した以後連続した3ヶ月間の報酬を計算の基礎とします。
このような場合、3か月間の報酬をもとに4ヶ月目から社会保険料額が改訂できます。
このような「定時改定」を待たずに標準報酬月額の改定を行うことを「随時改定」といいます。
ま と め
「標準報酬月額」とは、ことばどおりの健康保険料や厚生年金料を決めるときの「報酬の月額」でした。
「標準報酬月額」は、基本毎年4月、5月、6月分に支払われた給与の平均額から算出され決められていました。
それには、交通費や残業代や諸手当が含まれていることもわかりました。
そして、決定された「標準報酬月額」は、給与額に大きな変動がなければ、その年の9月から翌年8月まで適用されるといったことになっていたのですね。
これは、「事務処理の簡略化のため」に生み出されたものです。厚生年金の保険料は毎月納付しますので、事務処理をする会社としては、毎月一人ひとり保険料を算出するのはたいへんです。
国も管理しにくいといったことからそのようになったのですね。
年に1回の「定時改定」だけでは」大きすぎる報酬額の変更があるときには要件があえば「標準報酬月額」を「随時改定」できることもわかりました。
交通費が含まれるとなると遠方の会社に通う人は、会社に近いところから通う人よりも保険料が高くなるということですね。
これはちょっと給与の手取りがへるということなので困りますね。
しかし、厚生年金の額も増え、本人負担分の同額の会社負担の分も増えて年金の将来の計算にも影響されます。
どちらがいいと思われますか?